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Fig.2: Model sea area used in numerical simulation

ここで、S↓は水平面日射量、L↓は大気からの長波放射、σθ4sは海面温度に対する黒体放射量、refは海面のアルベード、σはステファン・ボルツマン定数、θsは海面の絶対温度、εは海面の黒体度、Hは顕熱による海面から大気への熱の輸送量、ιは海水の蒸発の潜熱、Eは蒸発による水蒸気の輸送量である。本研究では水平面日射量S↓の推定には鈴木・荒谷の式5)を用い、太陽高度による日射の一日の変化を表現した。また、H、Eの推定にはバルク式
E=paCeU*(qst,s-q)(15)
H=CppaChU*(Ts-Ta)(16)
を用いた。ここで、U*は基準高度の風速、CE,CHはバルク係数、qは比湿、qsat,sは海水の飽和比湿、Cpは空気の定圧比熱、、Tsは海面温度、Taは基準高さの大気温度である。QTについては、降水は無視する事にし、蒸発による塩分濃度増加を下向きの塩分流入とみなして
Qs=S・H (17)
とする。
浮体下面と海水の摩擦は以下の式で評価する。

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また、浮体位置でのQS,QTは、浮体によって完全に遮蔽されるものとして、両者とも0とおいた。

Table 1: Parameters for numerical simulation

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3 数値シミュレーションの結果とその考察
本計算で使用したモデル海域(奥行き40km、幅30km、水深20km)をFig.2に示した。西側が外洋との境界となっている。また、浮体(長さ6km、幅2km)の喫水は2mとし、湾の中央に配置した。Table1に、計算条件を示す。潮汐は、湾中央部(浮体位置)で周期12時間、振幅0.5mとなるように与えることとした。計算はそれぞれのケースについて10日間分行い、計算が安定した最後の1日について論じる事とした。
3.1 浮体による熱・塩分収支の遮蔽の影響
熱・塩分収支に対する浮体の影響を見るため、風応力を0とし、夏季(7月)および冬季(1月)のそれぞれについて計算を行った。
Fig.3に、夏季の条件のもとでのA-A’断面における平均流速を、Fig.4に、冬季の条件のもとでのA-A’断面における平均流速を示す。浮体の存在により励起される流れのパターンが、夏季と冬季で全く異なるが、これは、夏季と冬季で水温分布のパターンが異なるためであると考えられる。夏季においては、浮体直下で下降流が生じているが、これは、海面で熱は平均的に流入傾向にあるため水温は上昇するが、浮体下部では熱のやりとりが遮られるため周囲と比較して低温となるからであると考えられる。一方、冬季においては浮体直下で上昇流が生じているが、これは冬季においては、海面で熱は平均的に流出傾向にあるため水温は低

 

 

 

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